2.リードの調整について


調整について

 私が楽器を始めた頃(20年程前)はリードをトクサや紙ヤスリ等で削って調整するのが当たり前でした。それは市販されているリードが良くなかった為か、私の技術不足の為か今では解りませんが、少なくとも何かしら手を加えなければ良い演奏が出来なかったからです。一つ言えるのは、一枚々々明らかに大きさが違ったり、中には表面を磨かなければ唇にトゲが刺さるようなリードを売っているメーカーもあり、市販のリードを信用していなかったと言うことです。

 しかし、現在市販されているリードでこのようなことはまず考えられません。それどころか、現在市販されているリードのカット技術は大変素晴らしいと思います。ですから、箱から出して選んでみてダメなリードは材質に問題がある(これはリードを葦という自然の材料を使っている以上仕方がないことです。)と考える方が良いと思います。材質に問題があるリードはいくら削っても良くなる見込みはありません。つまり、箱から出してダメなリードは使うことを諦めた方が良いということです。

 こんなことを言うと「いや、そんなことはない。」「リードを削ったら吹き易くなった。」と言う人や「市販のリードは良くない。」「私は買ったリードは全て調整している。」と言う人はたくさんいるでしょう。しかしこの場合、始めからリードの種類の選択が間違っていると思います。

 前者は、その人にとって厚いリードを使っている人の場合です。このような人の場合いつもギリギリの厚さのリードを使っている訳ですから、少しでも堅い材質のリードは鳴らすことができません。そのようなリードを削って薄いリードと同じ状態を作ったので吹き易くなっただけです。始めから少し薄めの、その人にとって余裕のあるリードを使えば良いのです。

 後者は、始めからそのリードのカットがあっていない場合です。現在は多くのメーカーからたくさんの種類(カット)のリードが市販されています。いつも同じように削っているのであれば、その削った状態と同じカットのリードを使えば良いのです。何も自分に合っていないリードを買って削る必要はないのです。

 それでも、「リードを削ってみたい。」と言う人はいるでしょうが、リードのサイズを変えてしまうような調整だけはしない方が良いと思います。つまり、リード・カッターでリードの先端を切ってリードを短くするとか、リードの平らな部分をヤスリで削ってリード全体を薄くすると言うような調整です。リードのサイズはリードの命です。余程の知識がない限り手を出さない方が良いと思います。

 勿論、これらの話はリードに関する専門の知識を持った人ならば話は変わって来ます。しかし、このような人はリードを調整するくらいなら、気に入った材料(ケーン)から気に入ったリードを作った方が良いと考えるかもしれません。少なくとも私はそう考えます。以前は私もリードを調整しましたし、ケーンからリードを作ったりもしました。しかし、市販のリードが良くなった今、その労力を自分に合ったメーカーやカットのリードを探すために使う方が建設的な気がするのですがいかがでしょうか?